新型コロナウイルスに感染し、回復した後に来る後遺症として、全身倦怠感、息苦しさ、関節痛、味覚障害等が報告されており、それに加えて、若い方から高齢の方まで男女問わず、髪の毛が抜ける脱毛の症状を訴える患者様が急増しています。

コロナの後の脱毛症は後遺症の中でもかなりの方に表れる症状の一つであると言われており、国立国際医療研究センターの調べでは退院後の患者様最大4人に1人脱毛症状があると言われ、当院でも2020年夏頃以降、コロナ後遺症脱毛のご相談が増えています。
更に、最近の報告では男性に比べると女性の方が3倍、脱毛の後遺症が出やすいとのことで、その原因は未だに解明されていません。
コロナ後遺症脱毛の医学的エビデンスはまだ把握されていませんが、感染すると強力な炎症反応作用が働き、免疫力低下を伴い、なんらかの作用で脱毛を誘発しているのではないかと考えています。

毛髪には毛周期というものがあり、一定期間伸び続ける【成長期】、寿命になり毛根が退縮していく【退行期】、そして抜ける状態の【休止期】になるヘアサイクルを繰り返しているのですが、一般的には、今現在の頭髪の約85%が成長期で、10数%が休止期にある状態が正常な状態です。
コロナ感染後の炎症反応に対する免疫力において、この毛周期のサイクルが乱れ、成長期毛>休止期毛であるはずのサイクルが、成長期毛<休止期毛になっていると考えられます。
例えば女性の場合、妊娠中は成長期毛の割合が多くなり、産後には休止期毛の割合が多くなることで、頭髪の状態が疎かとなることが知られています。
また、高熱や大きな手術後でもこれらの休止期脱毛が起こる可能性があります。

多くは自然に毛周期のサイクルが元に戻ってくると、成長期毛が増加し、毛髪も回復してきますが、突然抜け毛が増えると不安になるのは当然ですよね。
中には完治後半年以上たっても脱毛症状が治まらない方もいらっしゃるようです。